自閉症児にとって公共の場は戦場|人はいつも未熟なのだ

まったく、自閉症児の母親になるというのは
とてつもなく残酷なことだとおもう。

 

一番なりたくない母親像に
最愛の我が子の前でなるということなのです。

 

妊娠から出産までに胸を躍らせ
出産で言葉にできない感動を覚え
赤ちゃんから立ち歩くまでの育児でこの上ない喜びを感じていたはずなのにな。

 

◇我が家は3人暮らし◇
・1979年生まれの私
・2009年生まれの特別支援学校に通う自閉症の女の子
・2011年生まれの特別支援学級に通う自閉症の男の子

 

先日娘が公共の場で、排せつの失敗をしました。

 

そのときの家族3人の行動や気持ちを振り返ります。

 

障がい児の個人賠償責任保険の話や、周囲の対応の話もちょこっとしていきたいと思います。

自閉症児は公共の場で、良く失敗をするお話

自閉症やADHDといった発達障がいを抱える子の中には

 

  • パニックによって他害行為や自傷行為がある場合
  • 言葉でのコミュニケーションが難しい場合
  • 社会性の捉え方が一般的な考えと違う場合

 

などといった
本人の努力だけではコントロールできない行動をとってしまう子がいます。

 

こうした子達は
公共の場では、更に不安感が強くなるために
周囲が思いもよらぬ行動を起こしてしまうことがあります。

 

娘もそうした傾向があり
新しい場所や非日常を体験、公共の場では
親子共々にドキドキすることも多いものです。

 

出かけるたびに、失敗や後悔・反省の連続で
白い目で見られたり、ときに怒られたり。
反対に救われたり、支えて貰ったり。

 

多くの経験を、公共の場で積みまくっています。

 

「髪を切る」という外出も我が家にとっては難関のひとつ。

 

娘は慣れない場所では「待ち時間」や「何をされるのかといった理由」について
こと細かに理解できないとパニックになりやすいのです。

 

休日の「弟の散髪の時間」は
娘にとって「弟の髪を切る時間」ではなく「ただ時間が過ぎるのを待つ、不安でいっぱいの時間」にすぎません。
理由が分からなければ、とても苦しいみたい。

 

わがままによってそうなっているのではなく
私には想像もつかぬほどの不安感や、恐怖、心配によって
パニックにならざるを得ないようす。

 

ひとたびパニックになれば、本人の力ではコントロールし辛く
落ち着くまでも一苦労。

 

だから私が美容院にいくときや、息子を床屋に連れていくときは
娘のいない時間を選びます。

 

ただ、その時間を創り出すのはとても難しいことなんですよね。

 

フリーランスなので、自分配分はしやすいし、時間を生み出しやすく思えるかもしれませんが
子どもが別々の学校に通い、2人で合計5か所の放課後デイサービスを個々に利用し
服薬の受診や、その他の用事をこなしているため
私には「働けない時間」が多大にあります。

 

ひとり親でフリーランスの私にとって
働くということは死活問題です。

 

平日に、息子の散髪で仕事時間を削るのはとても勿体ないと感じてしまう。
できれば休日に息子の髪を切りたいのだけれど、休日には娘もいる。

 

日中一時サービスといって娘に支援員をつけるサービスも制度としてはあるのだけれど
実際には、申請しても人手不足により活用できていません。

 

子どもたちが成長し
一般的に問題行動と言われるものが公共の場で減ってきたことや
息子の髪が伸びきっていたことが重なり、勇気を出して予約制の美容院へ息子の髪を切りに行きました。

 

おしゃれな美容院でした。

美容院でのこと|娘の排せつの失敗

息子はとても人懐っこく、新しい場所や、変化や刺激がとても好きな子。
おしゃれな美容院にワクワクし、自分で「カッコよくして下さい」とオーダー。
(そういうの、素敵だな)

 

1時間くらいかかると言われたので
息子は美容室に任せ、歩いて近場のカフェへ娘と出かけました。

 

娘は、カフェが大好きなのです。
偏食のひどい娘ですが、パフェやケーキといった女の子らしいものがとても好き。

 

この場合は、新しい場所へ行く不安感より、食べたい気持ちが勝つみたい。
(厳密には、1年前ごろから入れるようになりました)。

 

食べ終わると、また歩いて美容院へ戻ります。
美容院につくと、まだ15分くらいかかるらしい。
15分程度なら待てるかなと思い
娘の事情を説明して幼児用のキッズルームを借りることに。

 

娘は、大好きなアンパンマンのDVDを視聴していました。

 

息子の散髪も完了。
最終チェックを求められたので「かっこいいね」などといって、支払いへ。
他のお客さんも支払い中で、計算や支払いの街が結構長かった。

 

「◎ちゃん(娘)、なにしてるのか見てくるね~」
笑顔でキッズルームへ向かった息子の様子があきらかにおかしい。
目に涙が溜まっている。

 

未会計だったけどキッズルームに向かうと
「見ちゃダメ」と息子が泣き出した。

 

「大丈夫だから」と、キッズルームに押し入ると下半身裸になった娘。
カーペットには排せつ物。
娘は、排泄物を踏んでしまったようで、あちこちが汚れている。

 

私はそれをみて、頭の中が真っ白…ではなく
真っ黒になったきがした。

 

掃除をしなきゃ。
娘がパニックにならないようにしなきゃ。
息子のケアもしなきゃ。
謝らなきゃ。

 

多くの情報や感情が一気に脳内に流れこみ、心も乱れた。
直感的に冷静を装い、美容師スタッフたちに事情を話し
キッズルームの掃除をし、弁償することを伝えた。
カーペットは持ち帰った。

 

臭いも残っていたし
もっともっと頭を下げて謝りたかったけど
正直、そのときはのことはあまり覚えてない。
その場を早く離れたいと思いながら、掃除をしていたのは覚えている。

誰が悪いのか、何が悪いのか

泣いている息子と、なんだか困ったような表情に見える娘。

 

「大丈夫だよ」と伝えて、自宅に向ったけど
きっと「大丈夫」に聞こえない声のトーンだったと思う。

 

とっさに、これは周囲に見せてはダメなものだと思ってしまった息子。
慣れない場所でトイレに行きたくなって、どうしていいのか分からなくなった娘。

 

そのときの娘や息子の気持ちを、改めて考えると胸が痛くなる。

 

私の子どもたちは
幼いころから何度も必要以上に
過剰な不安や心配を経験し過ぎているのだと思う。

 

パニックになってしまうほどの苦しみや
のたうちまわるほどの絶望や
年齢に見合わない、苦悩するほどの辛さを

 

自閉症の苦しみを私は知る由もない。
自閉症じゃないから、知ることもできない。

 

自宅に帰り娘のシャワーをしながら泣くのを我慢した。
我慢したら喉が痛かった。
もう、何度も味わっている喉の痛みだ。

 

子どもたちに気付かれないように、汚れた服を泣きながら洗った。

 

子どもの切り替えは早いもので
息子は、自宅に帰ってYouTube見ながらもう笑っているし、娘もDVDを見ながら踊っている。
心に傷が残ったかどうかの真相は分からないけれど、今は元気そう。
よかった。

 

私は、どうだろう。
寝るまでずっと気持ちが重かった。
翌日もずっと気持ちが重かった。

 

いつも笑っている太陽のようなお母さんになりたいのにな。

個人賠償責任の保険とか、美容院への謝罪とか

次の日は重い腰を上げて、手土産をもって美容院へ謝りに行った。
本当に、重い腰だった。

 

私と変わらぬ背丈の、見た目には障がいがあるなんて分からない女の子。
その娘が、カーペットの上に排せつをするなんてどう思われただろうと、他人の目を気にしていた。

 

いつも私は他人の目を気にするなんて『アホくさい』『時間の無駄』と思っている側の人間です。
そんな私が「他人の目」を気にして、申し訳なさと不安で押し潰されそうだった。

 

美容院は、とても優しい対応で安心した。
こんなときの「気にしないでくださいね」の一言が、どれだけありがたいことか。

 

娘が学校で加入していた、障がいを抱えた子のための個人賠償責任の方も「力にはなりたい!」と誠意を見せてくれた。
これもまた、とても優しい対応で嬉しかった。

 

実際には、カーペットは減価償却といって、毎日使うものだし、日々劣化していくもの。
購入した時期から耐用年数を考えて
「おそらく10%から30%くらいしか力になれない」といった感じだった。
金額については「高額じゃありませんように」ともう願うのみ。

 

結果、美容院のカーペットの請求も私の手出しで何とかなる程度の額。
よかった、ありがとうインフレ。

 

改めて、立て替えて貰った代金を持参して謝罪に行った。

子育て中は、色んなことが起こるもの

障がいの有無に限らず、子育ては大変。

 

安定した親子関係に見えていても
母親をするということは、また生きているということは
ときに、驚くような不運に見舞われる。
そして、いつも不意打ち。

 

それに、子どもの成長は想像以上に早いし
昨日と同じ気持ちで、育児をすることなど消してない。

 

喜びも悲しみも
自然災害のように突然に訪れて
心を乱し、日々の暮らしを変えてしまうこともある。

 

それが、母親のみちを歩むということなのだ。
そして「母はつよし」と言われども、見えないところでみんな悩んで泣いている。

 

それは、人間がいつになっても未熟だという証なのだおともう。
公共の場は、まだしばらくは我が家にとって戦場のままの気がする。

 

早く穏やかになって欲しいな。

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