先日、自閉症児の娘が精神科病院に入院しました。
娘が精神的におかしいから、入院を決めたわけではありません。娘が障害の特性によって苦しんでいて家族だけの手では助けてあげることが出来なかったからです。
福祉関係者にSOSを出していたときとは違い、医療関係者にSOSを出すことで入院への運びになりました。
今回は、自閉症児の娘の入院について「医師による入院提案から入院受け入れまでの流れ」と「母の気持ち」をお伝えします。
入院が決まるまでのキッカケと家族それぞれの思いについては、以下にて詳しく解説しています。
入院提案から入院受け入れまでの流れ
入院提案から入院受け入れまでは、わずか3日間というスピード感でした。
娘が荒れだしたのが3月中旬ごろから。そして、大荒れしていた4月や突入することが不安で仕方なかったゴールデンウイーク。
その間、果敢に福祉関係者にSOSを出したり、相談員を通さず自分で近隣の施設へ相談を持ち掛けたりしても何も話が進まなかったのに、医療機関への受診からわずか3日で娘の入院が決まりました。
分かりやすいように、簡単にフローにしてみましたのでご覧下さい。
◇医療機関へ定期受診(5月6日:木曜日)
・服薬の処方箋を出してもらうために定期の受診
・現在の状況を相談すると、薬の変更と共に専門の病院へのレスパイト入院(※1)を提案され承諾
◇紹介先病院へ電話で予約・受診・入院決定(5月7日:金曜日)
・紹介先病院へ電話で予約を入れ、看護師に状況を聞かれ夕方に親子共々受診(初診)
・夕方の初診にて入院決定
◇入院当日(5月8日:土曜日)
・日中は家族で過ごし、夕方4時に娘はレスパイト入院(※1)に入りました
(※1)レスパイト入院とは、一時措置入院のことをいいます。詳しくは、以下の記事にて詳しく解説しています。
【木曜日】医師からの入院提案
木曜日、娘の薬を処方してもらいに定期受診へ。
受診時は、娘は同行しないことがほとんどです。
診察待ち・会計待ちでパニックになってしまうことや、近況を医師とゆっくり話せないために特別なことが無い限りは母と医師との相談で薬を決めています。
今回も、ここ近日のことについて医師と母で話し合いをし、薬の量や変更点を決めました。そして、「入院しませんか」と提案を貰い受け入れました。
「当院での入院は(県の一番大きな病院ですが)、大人の精神的ケアが中心であるために、小児の精神科入院を受け入れている病院ではどうでしょうか」と、紹介状を書いもらいました。
【金曜日】紹介先病院への受診予約・入院決定
翌日、紹介先の病院へ予約の電話しました。
電話|相談・予約


入院も緊急性が無ければ予約待ちとなっています

「こういう近況で・・こういう状態で…%#※*&?%・・・」

一旦確認のため電話を置かせていただきますね。

本日の夕方18時半以降、全ての診察が終わった後に夜間入り口から娘さんを連れて診察に来れますか?待ち時間も無いようにします。

夕方の緊急受診
夕方、子ども達を放課後デイサービスに迎えに行き、病院へ行くことをスケジュール提示し紹介先病院へ受診をしました。
新しい場所と新しい人たちだったので、イライラし始めた娘ですが複数人の手厚い看護士の方々のフォローで医師との話を終え、緊急で翌日16時から入院が決まりました。
娘のストレスが限界だったために、詳しい説明は明日入院後にし、入院の手引きと入院に必要なものやルールの書かれたパンフレット一覧を貰って帰宅。
【土曜日】入院当日
入院当日の朝に「本日のスケジュール」を、娘に提示しました。
娘が母と離れるのは、初めてではありません。2020年初頭、私が入院したときに1度と、その後に1度の計2回、普段利用しているデイサービスにて宿泊制度を利用したことがあります。
そのときのことを「お泊りチャレンジ」と呼んでいたために、今回も退院日の決まっていない入院をどう説明していいのか分からず「お泊りチャレンジ」と伝えました。※賛否両論あると思いますが、私なりの娘への配慮です。
今からこの子は精神病院へ入院してきます。離れると決めたのは私の方ですが、この選択が正解かわからないし、良くなると信じるしかない。
本当に幼いときから選択が多すぎる。その選択の度に、私はこの子のことを何も知らないんだなと情けなくなります。自分以外の人間の人生を選ぶって本当に苦しい。 pic.twitter.com/QztvFAvjPu
— さおり|お母さん (@triodiary) May 8, 2021
病棟へ|娘とお別れ・聞き取り
到着し、娘とはすぐ引き離され、私は医師や看護師に娘の特徴を話しました。
娘の苦手なことや好きなこと、安心することを一枚の紙に纏めて書き留めたものを準備して持って行っていたので、そちらも手渡しました。
その後は、娘と会うことも出来ず「もう少し抱きしめておけばよかった」「なぜ、もう会えないのだろう」と悶々としましたが、これで良かったのでしょう。そんなことをすれば、私は泣いてしまう。ただお泊りチャレンジをすると思っている娘の前で泣いてしまう…それは、良くないことだと気付くのに少し時間がかかりました。
医師や看護師のプロなりの配慮だったのかもしれません。
入院のための「所持品」と「購入したもの」
入院のためにの「所持品」や「購入したもの」をお伝えしておきます。
◇所持品◇
- 洗面器
- タオル(バスタオル数枚・ハンドタオル数枚)
- 洗面セット(歯みがきセット・シャンプー・ボディーソープ・くし・ヘアゴム)
- 紙コップ
- 蓋つきコップ
- 日中の服
- パジャマ
- 下着類
- 生理用品※私物の持ち込みは基本として禁止でしたが「余暇時間」を過ごすことが苦手な娘のために好きな本を数冊持っていき了承を得ました。
お洋服の大好きな娘ですが、大量に服を持っているわけでもないですし、母子家庭の我が家に予備のタオルがそう多くあるわけはなく…意外と出費でした。
◇購入したもの
- 当日と翌朝の食事(手配が間に合わなかったために)
- ガム(本人のイライラ緩和するために日頃から持たせているので、今回も許可を得て持たせました)
- 生理用ショーツ1週間分買い足し
- 通常ショーツ1週間分買い足し
- ブラつきキャミソール5枚買い足し
- 洗面器
- シャンプー・リンス
- ボディーソープ
- 不織布マスク
- タオル5枚
- ゴミ箱
- ビニール袋
- 蓋つきコップ
- 紙コップ
- 上下服数着買い足し
GUや100円ショップなど、安い所を回って買い集めましたが、合計14,000円程度の出費となりました。
こうした出費や、入院中の食事代などは保険適用外なので、退院後に「費用」の記事を書きたいと思います。
親として思うこと
これは私説にすぎませんが、精神科病院へ子どもを入院させることを「可哀想」という声があまりにも多いことに驚きました。
もちろん、娘が入院になったことも離れて暮らすこと苦しいことのひとつです。娘にとっても、入院という体験は新しい出来事で辛いことだらけでしょう。
しかし、障害があっても無くても、いずれ誰しも自分なりの「自立」をしなければならない。自立するって、生きていくチカラを備えることです。
障害を抱える子とその家族に起こった家族間の問題を「過去の出来事」として終えるのではなく、障害者ファミリーである自分たちのこれからの課題を、ここから見出すべきだと感じました。
誰の力も借りずに今回の件を乗り切ったとしても、また同じ問題は繰り返されるかもしれない。だから、支援や医療の力を借りて克服し成長するということは、私たち家族には必要なことです。それに、入院という呼び方から病気と思われてしまいがちですが、今回の入院は「病気」ではなく一時的な措置です。
私には、世界の富裕層の子がティーンエイジの内から親元から離れ留学し自分の目指すべき場所に身を置くことと、障害を抱えた子が設備の整った自分が落ち着ける場所に身を置き成長していくことに大きな違いがあるとは思えません。
人は知らないことに保守的になります。知らないものは怖いと感じるために、知ってしまえばなんてことないことでも、批判したり抵抗したりする。今回の件で言えば「精神科病院」が、怖い場所としてイメージだけが独り歩きしているようにも感じました。
だとすれば「現代の精神科病院はどんなところか」「精神障害を抱える思春期の子にとっての入院には、どんな意味があるのか」と知ろうとすることが大切なのではないでしょうか。
誰に何と言われようと、過去のイメージや風習、周囲の目を気にせずに、自分たち家族の最善を目指すことを忘れないようにしたいと考えます。
まとめ
【自閉症児の入院日記②】医師による入院提案から入院受け入れまで
今回は、娘の入院紹介~入院手続き・入院までをお伝えしてまいりました。
まとめると、障害児育児の相談を求めるさいに、現時点では「医療」と「福祉」の分野は連携がとられていないことが多いので、相談によっては親の判断力が求められるということです。
そして入院には意外と、準備するものがあるということ。
最後に、私説にすぎませんが発達障害の子の「入院」は消して悪いものではないということ。もっと正確に言えば、その良し悪しの答えが分かるのは数年先なのだと思います。
今日はここまで!
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