【特本コラム#20】障害者の親の暮らし「普通のお母さんとして」

「自閉症の子たちだから、何か才能あるんじゃないの」
「お母さんを選んで生まれてきたんだよ」
「お母さんだから育てれるんだよ」

 

障害児のお母さんにならなければ、言われることもなかったお褒めの言葉です。

 

「そうなんだね、何か才能見つけてあげないとね」
「そうなんだね、選ばれたんだね私~アハハ」

と、こたえる私。

 

「でも、才能見つける余裕なんてない」
「できることなら、選ばれたくなかった。だって私は普通の…いや普通以下の怠け者女だから」

と、心の中で思っています。

 

***

 

障害のある子を産んだお母さんは
「すこぶる明るい人間」でも
「とりわけ強い人間」でもない

 

正直なところ
神様に選ばれし人間でもない
と、私は思っています

 

とはいえ
確かに我が子に才能があれば嬉しいし
正直なところ、私自身はとても笑い上戸
世間一般の皆さんより笑いのレベルも低く
くだらないことで噴き出す始末

 

主婦も子育ても不向きな私が
ひとりでアタフタしながら育児をやり過ごす姿は
周囲へ「強く明るい母」として映ることもあるのかもしれない

 

いや、しかし

 

障害児育児の大変なあれこれは「才能ある」「お母さん強い」なんて綺麗ごとじゃない。

 

普通のお母さんが
社会で普通に暮らしていくためには
「才能ある」子を信じて日々を耐えしのぐより
「お母さんが強く」なりパワーアップするより
誰かの手…そう「支援」や「制度」が必須なんですよ

 

自閉症だから見た目に分からないし
公共の場で穏やかだったり笑ったりしていると
何一つ大変じゃないように感じる人もいるかもしれないけれど
そうじゃない

 

それは本当に、切り取られた日常の一コマ

 

障害児育児を担うお母さん達は
強く明るく笑っているようにみえて
1日でみんなの1年分の涙を流す日もある

 

だからね…
「才能がある子」とか「強い母」って言われるのもいいんですが
「そんなに大変なんだ」
と、理解して欲しくて
欲を言えば
「制度が少なすぎるね」
と、多くの人に気付いてほしいんですよ

 

***

 

もともとの性格もあるのかもしれないけれど
私は、共感的な会話でスッキリするタイプじゃない。

 

「障害児の親の会で悩みを共有し、スッキリしたら?」
「専門職の人に相談したら?」
と、幾度となく言われても
私が、そんなことでスッキリするとは思えない

 

専門職の人たちは
障害児の特性や医療的・支援的アプローチ法はよく知っていても
障害者と、その家族の家での暮らしはよく知らない

 

伝えて理解して貰ったところで
家についてきて世話してくれるわけじゃない
1晩または、数日「母親を交替」してくれるわけじゃない

 

もちろん
吐き出す場や相談の場も大切だけど
それよりも
障害者の家族として
のどから手が出るほど欲しいものは
以下の3つ

 

・社会の理解
・潤った制度(有る無しの問題ではなく、クオリティも含めて)
・支援者(親)の、まとまった自分の時間。

 

この3つが潤えば
きっと暮らしが変わる
茶話会や相談と比にならないほど
障害を抱える子を育てる家庭の暮らしが変わると思う

 

***

 

乳幼児を中心となって育てたことある人なら、きっと分かるはず。

 

「病院」「冠婚葬祭」「上の子の学校の行事」などといった
どうしても外せない用事があるときには
「子どもを見て貰えませんか?」と頼めても

 

「遊びに行きたい」「習いごとをしたい」
「たまには、オシャレをして出かけたい」
などといった理由で
「子どもを見て貰えませんか?」とは頼みづらい。

 

なぜなら
育児中に自分の時間を持つなんて
「わがまま」として捉えられがち

 

それが日本です
子どもをシッターに預けて
夫婦でディナーに出かける諸外国が羨ましい

 

自分の時間より
子どもを優先すべきときが多いし
必須なのは分かってる
でも
四六時中は無理
そして365日ずっとは無理
毎日細切れの「休憩」などでは補えないほど
継続的に育児をし続けるのは大変です

 

子どもは日本の国家資産であり宝
それを、生み育てる母のメンタルを守ることだって
国や社会、家族の役目のはずでしょ?

 

どうしてほしいの?
子育て中は「自分を全て捨てて、ボロボロになれとでもいうの?」と、問いたい。

 

***

 

一般的な子育ては
大変なのはせいぜい10年。
その10年の間に子どもは少しずつ成長する。

 

子どもに障害があった場合
乳幼児のような育児が
家族でいる限り永遠に続く

 

「夜中に起きる」
「風呂やトイレの介助」
おまけに、大きな体でパニックになられる日もある
目が離せないような時間が数十年続き
障害者の親だから耐えるのが当然といわれたら…

 

そんなの、つらすぎる

 

誰かに許される暮らしが
私には許されない暮らしなのはなぜ?
子どもが障害児だから?
障害児を生んだ責任だから?

 

「日頃、苦労の多い人ほど、選択肢は多く準備されている必要がある」
私は、よくこのように発言します。

 

理解してくれる人もいますが
「なぜ?」と返ってくることも多い。

 

だって
普通のお母さんが
たまたま障害児を生み
普通の夫婦が
たまたま離婚をし

 

「あなたは強いから」
「あなたは明るいから」
「あなたの子には才能があるから」

 

だから
「色々我慢してね」と?

 

「そんなの、あり?」

 

障害者に支援が必要なことは理解され始めてる
でも、障害者の家族にも支援が必要ではなかろうか

 

支援の有る無しでいえば「ある」
理解の有る無しでいえば「ある」
でも、質が高いか、潤って本当に必要な個所に届いているかといえば「ない」

 

障害者を生んだ親が
歯を食いしばって
我慢するような日々が
これからも続くなんて
先進国である日本において
恥ずかしいことだと思う
世界からみても恥ずべきことだと思う

 

どのような暮らしでも
どのような生まれ方でも
どのような生活背景でも
支援の力を借りれば
誰もが
同じスタートラインへ立てる社会が
早くやってくるといいな

 

ごく自然に。
当然のこととして。

 

今日はここまで。

 

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