【特本終活:障害者の親亡き後#3】お金編②:「お金を残す仕組み」遺言と信託について

✔私は「終活ガイド上級取得者」であり、「小学生の障害児2人のひとり親」です

✔この記事は【特本終活:障害者の親亡き後】としてシリーズ化しています

✔今回は、3回目で「親が残したお金が正しく子どもに手渡る手段」を紹介

 

 

障害者の親亡き問題はとっても不安になりますが、ざっくり要約するとポイントは以下の3つとなります。

  • お金
  • 住居
  • 困ったときの支援

※詳しくは、【特本終活:障害者の親亡き後#1】何をしていけばいいのか?!に記載してあります。

 

 

今回は、第2回の続きで「お金の残し方」について。
「遺言書」と「信託」について解説します。
誰かのお役に立てれば幸いです。

障害者の親亡き後|「お金を残す仕組み」遺言書と信託について

障害を抱える子どものために「お金はどのくらい残せばいいのだろう」と、お金の額面が気になりますが、それよりも「我が子のために残したお金を、使って貰える仕組み」が大切です。

 

障害を抱える子への「お金を残す仕組み」は、大きく分けて以下の2つ。

  • 遺言書
  • 信託

 

遺言書や信託を使って、親亡き後の障害者にスムーズにお金が届くためのポイントを解説します。

 

※念のため、前回の記事でも活用した図表を、確認のために張っておきますね。

お金の残し方 種類 内容
遺言 ・公正証書遺言
・自筆証書遺言
・親の希望通り子どもにお金を残せる
・正式な遺言書である
信託 ・家族信託
・特定贈与信託
・遺言代用信託
・生命保険信託
・遺産相続により、子どもが大金を手にてトラブルになるのを防ぐ
・必要なときに、子どもにお金が届くようにする仕組み

①「遺言」ってどんなもの?どんな効力があるの?

遺言書とは残された家族(相続人)が揉めないように、遺言書を書く方(被相続人)が、相続についてを書面に残すもののことです。

 

もう少し詳しく解説しましょう。

遺言書とは何か?

遺言書には強い法的効力があり、遺言書に書かれた内容は法律で定められた相続分割よりも優先されます。※ただし、法定相続人の最低限の権利を保証する遺留分という制度もあります。)

 

遺言書で受取人とされている受遺者は、他の相続人に同意を求めることもなく相続手続きを進めることが出来ます。

 

家族が亡くなり相続が発生した場合には、まず遺言書が残っているかどうかを確認する必要があります。

 

遺言書には、遺産・財産を誰にどのように承継させたいのかが書かれた法的効力のある意志表示となるため、残された家族(相続人)の意思(遺産分割協議)よりも優先されます。

 

~障害者の親亡き後「遺言書」まとめポイント~

遺言書で「このお金はこの子(障害を抱える子ども)のものだよ!と宣言しておけば、しっかりと我が子に手渡るということです。エンディングノートなどはそのような法律的な効力はありません。

きょうだいや親族に頼んでおくだけではダメなの?

きょうだい児や信頼できる親族に頼んでおくだけではダメなの?と思う人も多いものです。

 

きょうだい児(障害を抱える子のきょうだい)が友好的だったり、大きな遺産がないから争いごとはないと思うような場合も、相続問題を機に血縁関係が大きなこじれ問題に発展する場合があります。

 

例えば、きょうだい児の配偶者が「私たちが面倒をみるのだから、遺産は全部こちらでもらうべき」と思ったり、甥や姪が「自分達にも責任が降りかかってくる可能性があるから遺産は貰いたい」と、想定外の場所からトラブルの元が持ち込まれる可能性も有ります。

 

相続争いは「額面大きさ」ではなく、感情面のもつれから起こることの方が多いもの。そこから大きな問題へと発展し、きょうだいが決別することもよく聞く話です。

 

また障害の有無に関わらず、家族がなくなれば相続の手続きが必ず必要となります。財産の額面や相続人が明確になっていない場合は、調査が行われことになります。調査報告が出るまでは、亡くなった人の口座も凍結されたままとなるために、遺言書によって財産の額面と相続の行き先が明確に示されていれば、全てがスムーズ進みます。

 

そのため、ぜひ遺言書は書いておいていただきたいものとなります。

遺言書|どのような種類があるのか?

「遺言書を書きましょう」とざっくり言われても、どのように書けばいいのかかりませんよね。

 

遺言書には、以下の3つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

 

障害者の親亡き後に関わるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言

上述した3つの中でも、「障害者の親亡き後問題」に必要となってくるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。※後に「秘密証書遺言」がなぜ、あまり意味を持たないのかも解説します。

 

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違いを比較するには、文字での説明よりも表を活用しての方が理解しやすいと思います。

自筆証書遺言 公正証書遺言
作り方 親の自筆 親の証言をもとに公証人が作成
証人 不要 証人が必要(最低2名)
費用 不要 ・公証人手数料
・遺言手数料
・用紙代
※報酬が必要な場合もあり
(※1)
署名・捺印 遺言者本人の署名捺印 各人の署名及び実印が必要
保管方法 本人 原本は公証役場
正本は本人が保管
検認手続き(※2) 必要 不要
参考 ・法的効力を成すか確認が必要
・保管が難しい
・確実な保管と自分亡き後を安心して任せることが出来る
・費用が高つく

※1)公正証書遺言の費用

自分で遺言書を書いて、公正証書にした場合は約10万円が相場と言われています。それと併用し司法書士に依頼した場合は別途約5万円程度が必要となります。

 

~遺言書の費用が「高いなあ」と思う方も安心してください~

2020年7月から民法改正で自筆証書遺言(自分で書いた遺言)の法務局預かりサービスが施行され、自筆証書遺言を法律のプロにチェックしてもらうことで3万円程度で公正証書遺言と同じようなものを残すことが出来ます。

 

こちらについては、後に詳しく記事としますので、そのときにリンクを張りますね。

※2)検認手続きとは

検認手続きとは、遺言書の内容を確認して偽造や変造を防止する手続きのことです。家庭裁判所で行うことが出来、費用は収入印紙800円分程度となります。(別途申立人及び相続人との連絡用に郵便を使用するため切手代が必要になります。詳しくは管轄する家庭裁判所で確認してください)

 

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」は、どちらがオススメ?

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のオススメはありません。

 

親であるあなたが、身内や施設と相談を繰り返し、安心できるものが一番いいと言えるでしょう。

 

どちらを選んだ場合も、正しく作成され、自分の死後に信頼できる誰かに託すことが出来ていれば問題ありません。その信頼できる誰かを見つけるのが難しく公的機関を活用される方も多いものです。

 

遺言書は書き直しが利きます!

一度書いたからと言って、書き直しが出来ないなんてことはありません。
最初の一歩を踏み出す意味でも、書いてみるキッカケを作ってみるといいと思います。

遺言書の種類|「秘密証書遺言」は、障害者の親亡き後問題には関係ないの?

秘密証書遺言とは、公正証書遺言と似ており公証役場で作成手続きをしますが、違いは遺言内容を公証人に知られずに作成出来るということです。

 

公証人にさえ絶対に亡くなるまでは秘密を守りたいとう内容を書き残す場合には「秘密証書遺言」を活用されます。しかし、障害者の親亡き後問題では、おそらくこのあと説明する信託なども必要となってくるため全てを秘密にする人は少ないと思います。

 

実質的にも「秘密証書遺言」を活用する人は少ないと言われています。

②信託って何?障害者家族に関係あるの?

信託とは、自分の財産を信頼できる人に託して運用・管理してもらう制度のことです。自分のためだけではなく、または家族のため、大切な人のために託すことができます。

 

もう少し詳しく解説しましょう。

障害者家族にとっての「信託」とは何か?

信託とは自分の財産を、誰かのためや目的にあわせて管理・運用するしくみのことを「信託」と呼びます。

  • 信託した財産を、子どもが必要なときに必要なだけを給付して貰えること
  • 子どもが他界したのちに財産が残っていた場合は、そのお金の譲渡先(寄付先)も契約で決めることが出来る

 

この制度を親亡き後の障害者に活用することで、相続した財産を一度に使ってしまったり、他人に悪用されてしまうことを防ぎ、本人がお金が必要なときに必要な額を手元に渡すことが出来ます。

 

我が家を例|信託銀行(信託会社)の信託と親族の力を借りた信託を解説

我が家は、ひとり親家庭子ども達は2人とも障害児。娘はお金の管理能力は無さそうですが、息子はお金を管理することが出来そうです。これを、前提に例にとって解説します。

 

私が5,000万円(すご!)の遺産を残し、各2,500万円ずつ正しく遺言書を残したとしましょう。

 

 

しかし、子ども達2人が一度に手にした大金を管理するのは難しい。

 

娘は既に施設入所していたとしても、上手く利用して貰えるかどうかの保障がありません。息子は多くの支援を借りながらひとりで暮らしていたと仮定しても、一度にこんなに大金を手にしてしまうことで、使い込んでしまったり最悪はだまし取られたりする可能性もあるかもしれません。

 

そのようなときに、力を発揮してくれるのが信託となります。また、我が子達に例えて解説します。

 

【信託の例】

  • 娘→信託銀行(信託会社)へ信託
  • 息子→甥っ子へ信託

 

信託銀行(信託会社)を活用した娘と、甥っ子の力を借りた信託を利用した場合、それぞれのメリットとデメリットと注意点は以下のようになります。

子ども 申込先
(受託者)
メリット デメリット 注意点
信託銀行
(信託会社)
業務として扱われ安心 手数料を取られる それなりの額が必要
息子 親族
(甥)
手数料がない
手続きが不要
信じて託しても不安は残る 契約書などを作る場合
トラブルにならないように気を付ける

 

分かりやすいように、図にもしておきましょう。

 

【娘の場合:信託銀行を活用例】

母の逝去後:月5万円を娘に手渡るようにする

委託者 受託者 受益者
母親 信託銀行

 

信託銀行(信託会社)は「業務の一環」として信託を行っていますので、それなりの費用とまとまったが額が必要となります。

 

【息子の場合:親族(甥)を活用例】

母の逝去後:月5万円を息子に手渡るようにする

委託者 受託者 受益者
母親 親族(甥) 息子

身内同士の信託の場合は、信じて託しても不安は残るのが最大のデメリットで、その場合に「信託監督人」といって監視役を付ける制度があります。

 

信託監督人も信託の契約の中で税理士や弁護士と言った専門家に監視を頼みます。しかし、信託監督人を付けることで「信用されてない」と身内が感じてしまったり、費用が別途かかるなどの問題もあるために慎重に決めたいところです。

信託制度の種類について

信託の種類も近年は広がりを見せており、生命保険信託や特定贈与信託などもあります。

生命保険信託

生命保険信託とは「生命保険」と考えてください。死亡保険金の受け取り方を信託として設定するだけのことです。

 

申込時に、月々の信託金や余った場合の寄付先を決めていくことになります。

 

まだ比較的新しい商品なのですが、最近は広まりを見せていて今後選択肢が広がる可能性があります。

特定贈与信託

特定贈与信託は、障害者の親亡き後に特化した信託となります。

 

通常は財産を贈与すると、年間110万円を超える雑徭に対して、贈与税がかかりますが「特定贈与信託」を利用すると、以下の場合につき贈与税が非課税となります。

  • 特別障害者→6,000万円以下
  • それ以外の特定障害者→3,000万円以下

 

特定贈与信託を利用することで「節税」と「定期給付」の二つの大きなメリットを得ることが出来ます。

 

注意点としては、法律で定められてはいるわけではありませんが、特定贈与信託を契約する際に成年後見人が必要な場合があります。※特定贈与信託と後見人制度については、別の記事で更に詳しく解説しここにリンクを張りたいと思います。

 

その他|障害者扶養共済制度やiDeCo

遺書や信託以外の、障害者へのお金の残し方のひとつに障害者扶養共済制度やiDeCoがあります。

 

こちらについても、改めて詳しく解説する記事を書き、後にここにリンクを張りますね。今回は頭の片隅に「信託」を含め多くの障害者の親亡き後問題のお金のサービスや制度があることを置いておいてくださいね。

まとめ:【障害者の親亡き後】お金編②:「お金を残す仕組み」遺言と信託について

今回は、障害者へのお金の残し方として「遺書」と「信託」を紹介しました。

 

 

なんだか、書いていて思ったのだけど、文字だと書く方も大変だし、質問も出来ないだろうしセミナーでも起こそうかなと思いました。zoomでよければ、時間さえあればいつでも対応します!(無償で!)

 

今日はここまで!

 

私は【終活ガイド上級(1級)資格】 を取得していて、終活ガイドの視点と障害児2人育てる親として両方の視点からお伝えします。

 

終活ガイドは仕事にすることも出来ますし、幅広い方の終活に関するサポート・そして何より自分の生き方を見つめ直すためにとてもオススメの資格ですよ。

 

 

私が日頃お世話になっている(一方的に思っている)竹内義彦さんの著書のレビュー「【レビュー】「終活スペシャリストになろう」障害児の親亡き後について考えた」も、ぜひ目を通してみてくださいね。

 

 

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